令和になって初めての師範代考査会が16名の受験者を迎えて開催された。
審査員には、常任理事会メンバーから住岡摂昇先生と吉田摂城先生に、いずれも、
急用や病気等で都合が悪くなった先生の代役として、急な依頼にも関わらず
快く引き受けて頂きました。お蔭で師範代考査会も十分な体制で臨むことができました。
受験者も考査吟詠を立派に披露され、全体として大変安定していましたが、体調不良で
再度確認させてもらう方が一名でて、追試の形をとり、その結果、全員合格となりました。
結果発表の後、質問があり、掛軸について説明を求められ、咄嗟のことでしっかり答えられませんでしたが、
考査会場を格調高く飾り付け厳かな雰囲気を作るための威儀具として掲げて吟者に張り切って考査に臨んでもらいたいのだということと、およその意味としては、天地(あめつち)を貫く心、即ち誠の心で吟詠すれば[一吟天地心]、(これぞ清吟であり・・・丁度今回の筆記試験に初代宗家の序文を穴埋め形式で問い「清吟」と解答してもらう場所がありました。)、
その清らかな風が会場に満ち満ちて座の人々の心を感動感激で満たす。[清風圧満堂]と説明させて頂きました。
また、満堂は必ずしも大会場とか満員御礼の意味でなく、気分の問題だとも付け加えました。
実は、この掛軸は元赤穂吟詠会長の室井摂雲先生に揮毫依頼したものですが、せつなん会館の規模からして、満堂を圧すは
大袈裟にも聞こえるからこういう五文字がありますよと、失念しましたが良い言葉を提案してもらっていました。
そのアドバイスは的確で大変有難かったのですが丁重に辞退いたしました。
それは狙いがあったからで、一吟天地心と対に受けて味わうものとして見た時に、気迫面が収まってしまって、吟者の気分を盛り上げるのに不足を感じたからでした。
合格者の皆様とは、また高段考査で「一吟天地の心→清風満堂を圧す」の心意気、即ち、日本精神が発揚して枠には収まらない気宇広大な気分での吟詠の掛け合いで再開し、独特のスケール大の場を作り出したいと存じます。 ( 記 藤原摂鵬 )
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